2010/12/26

[AMN][書評]REMIX ハイブリッド経済で栄える文化と商業のあり方


この本の主張は「現在の著作権法の運用は行きすぎであり、現実に合わせて著作権法を変えて、アマチュアの著作物を使った二次創作 - REMIX - を保護すべき」ということにある。

2010年は、スマートフォンが爆発的に世の中に広まった年だと歴史に残るのだろう。そして電子書籍が紙の書籍の販売金額を越えた年である。すなわち、手のひらサイズのコンピュータを持ち歩いてデジタルコンテンツを楽しむのが当たり前になったのだ。

著作物がデジタル化するなかで、我々は著作権に関する法制度とマネタイズに関わるビジネスモデルをあるべき姿に変えるべきである。すなわち、本書で挙げられているREMIXが心おきなくできる世界であるべきだ。

REMIXを困難にしているのは、何といっても権利団体の過剰な著作物の保護である。REMIXは元著作物にとってもこの情報爆発の中で認知を広げるための「一番クールな方法」であると認めるべきである。取り上げられなければ無いも当然であるということを理解しなければならない。

また、ビジネスモデルであるが、著作権料の処理を最初に行うのではなく、二次創作物に対して対価が最初に払われた時点でレベニューシェアするようにすればよい。著作物が見られた・使われた量に応じて著作権料が取り扱われた方が二次創作物を作るクリエイタのモチベーションも増すはずだ。最初から禁止されたり、最初に法外な料金を請求されたのでは、REMIXは難しいままだ。

今を生きる我々ができることは、既存のルールを壊し、我々の後進のためにより良い世界を残すことである。ROの恩恵を十分に享受した我々の未来に残せる役に立つ遺産がこれだろう。

本書の大筋については同意できる。しかし、著作物としての説得力に欠ける。なにより新しい世界に対するビジョンが描ききれていない。

本を読む時間を短縮化するために、後書きを先に読んだ。そこには訳者である山形浩生氏の訳者あとがきがある。珍しいと思ったのだが、訳者が著作に対して否定的なのである。私は「デジタル・ネィティヴ」を読み終えたばかりということもあり、今を理解していない訳者の思い込みだとばかり思っていた。

しかし、本書を読み進めていくと、分かっていないのはレッシグの方だと思うようになった。クリエイウティヴ・コモンズに深く関わっている著者のはずなのだが、何やら判然としない。特に様々な事例をあげることで、本書の内容を伝えようとしているのだが、その例があまり適切ではない。映画の不正コピーを持ち歩くこと、音楽のダウンロードは違法である。それを許容できる理由は無いに等しい。

私の感想は上記の通りだ。生意気な提言に聞こえるかもしれないが、思ったことなのでしっかり書き残す。ご意見などがあればどんどん寄せてほしい。

c.f.
[O] 【いま読んでいる】 REMIX ハイブリッド経済で栄える文化と商業のあり方

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